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現場が先に使い始めたAIを、組織で支える三つの方法

実践ノウハウ

現場で先に広がる生成AIと、追いつかない組織の支援

個人の利用が速く、組織の整備が遅れている

PMI(プロジェクトマネジメント協会)が2024年に公表した「Pushing the Limits: Transforming Project Management With GenAI Innovation」は、プロジェクト担当者500人(18業種・12か国)を対象にした調査です。参加の条件は、プロジェクト業務で生成AIを少なくとも一部使っていることでした。つまり、生成AIを使っている人の中での割合であり、プロジェクト担当者全体の割合ではない点に注意が必要です。

この調査では、プロジェクトの50%以上で生成AIを使う層(PMIは「Trailblazers」と呼んでいます)が、2023年12月〜2024年1月の第1回調査では20%、2024年3月〜4月の第2回調査では37%に増えています。また、生成AIを使う回答者の43%が、プロジェクトのタスク実行の半分超で生成AIを使っていました。

一方で、PMIは、プロジェクト担当者が、組織が正式な方針や実務を整えるより速いペースで生成AIを試していると指摘しています。個人の利用に、組織の支援が追いついていない状態です。

個人任せの利用で起きやすい三つの課題

PMIは、個人任せの利用で起きやすい課題として、次の三つを挙げています。

  • ガバナンスとプライバシーのリスク: 統制のない利用では、データ規制に違反したり、審査されていないツールで機密情報を出したりするおそれがあります。
  • 誤情報とハルシネーション(もっともらしい誤りの生成): 出力には継続的な確認が必要です。研修と監督が足りないと、スコープの拡大、目的のずれ、事実の誤りにつながり得ます。
  • ツールの乱立: ツールが急増し、互換性を持たせる動機づけもないため、個人が評価や統合を行うのが難しくなります。PMIは、これを「ワイルドウェスト」と表現する専門家の言葉を紹介しています。

整備が進んでいない組織では、利用が基本的な用途にとどまる

PMIによると、生成AIの活用を支える整備度が低い組織では、コミュニケーション、計画、コンテンツの要約が中心です。人材・資源の管理や意思決定の支援のような、高度なタスクへの利用は多くありません。

個人の試行錯誤だけに頼ると、知見が個人の中にとどまりやすいと、当社は考えます。

リーダー側にも、計画とビジョンの課題がある

PMIが引用した、MicrosoftとLinkedInの調査では、リーダーの60%が、自組織のリーダーシップに、生成AI導入の明確な計画とビジョンがないと懸念していました。また、HBRとAWSの調査では、最高データ責任者の約3分の1が、全社の活用事例ではなく、個人レベルの実験に注力していたとされています。

PMOが先導できる三つの支援策

PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)が担える支援を、三つに整理します。以下は、PMIの調査の指摘(ガバナンスとプライバシーのリスク、知見の共有、利用が少ない重要な領域への誘導)を踏まえた、当社の考え方です。

1. 最低限の安全策を、先に用意する

個人の工夫や試行を、頭ごなしに止めないことが大切です。そのうえで、PMOが、守るべき最低限のラインを先に示します。取り扱ってよい情報の範囲、機密情報を入力しない原則、出力を人が確認する原則などです。

PMIも、組織の対応が整うまでの個人の暫定策として、データの扱いに注意し、組織のガイダンスと研修を求めることを挙げています。ルールは、厳しすぎると使われなくなります。現場が安心して試せる、必要最小限の内容にとどめるのがよいでしょう。

2. 知見を共有する場を、設計する

プロンプトの工夫や活用事例を、個人の中にとどめず、組織の資産にします。PMIは、個人の暫定策として、コミュニティやフォーラムでツールの知見を共有することを挙げています。PMOが、定期的な共有会や、成功と失敗の事例を集める場を用意すれば、この取り組みを、組織の仕組みにできます。

3. 重点領域を、示す

PMIは、組織に対して、利用が少ないが影響の大きい領域に、プロジェクト担当者を導くことと、データセキュリティとガバナンスの枠組みを整えることを提言しています。

コミュニケーションや要約にとどまらず、どの工程やタスクに優先して生成AIを使うかを、PMOが示します。道筋があれば、現場は迷いにくくなります。

まとめ

生成AIは、現場で先に広がっています。この調査は、個人の利用に、組織の支援が追いついていないことを示しています。個人の工夫を止めずに、成果へつなげるには、PMOが、最低限の安全策、知見を共有する場、重点領域の提示という三つを、先に用意することが有効だと、当社は考えます。

まずは、自組織で、誰がどんな用途で使っているかの実態を、把握するところから始めてみてください。

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